子どもとはり・きゅう
「子どもに鍼(はり)をする」と聞くと、「小さな子どもに鍼を刺すのは痛そう」「かわいそう」と不安に思われる保護者の方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、子どもの施術に用いるのは、一般的な「刺す鍼」ではなく、皮膚に触れさせたり擦ったりするだけの「刺さない鍼(小児鍼:しょうにはり)」です。この方法は東洋医学の古い古典(バイブル)にも記されている歴史ある伝統的な治療法です。
今回は、乳幼児から小学生頃までのお子様を対象とした小児鍼の仕組みや、期待できる効果について詳しく解説いたします。
「刺さない鍼」小児鍼の種類と特徴
小児鍼には様々な形状のものがあり、お子様の肌質や体質、年齢に合わせて鍼灸師がじっくりと見極めて最適なものを選定します。大きく分けると、以下の2つのタイプがあります。
- 接触刺激を行うタイプ: 「振子鍼(ふりこばり)」「いちょう鍼」など、ツボの周辺に優しく当てるタイプ
- 摩擦刺激を行うタイプ: 「ローラー鍼」「ウサギ鍼」など、皮膚の上を優しくコロコロと転がしたり擦ったりするタイプ
金属の器具を皮膚に優しく当てるだけですので、痛みは全くありません。むしろ心地よい刺激であるため、施術中にリラックスして眠ってしまうお子様も多くいらっしゃいます。なお、この刺激の優しさから、非常にデリケートな肌質の方や、刺激に弱い大人の方の施術に用いられることもあります。
小児鍼に期待できる主な効果と適応症状
小児鍼は、成長過程における自律神経の乱れを整え、脳や内臓の働きを活発にすることで、子どもの健やかな発育をサポートします。
1. 神経系・睡眠のお悩み(かんの虫・夜泣き)
東洋医学では、環境の変化や成長のスピードに神経の興奮が追いつかない状態を「かんの虫」と呼びます。自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整え、精神的なリラックスを促します。
- 夜泣き
- かんの虫(理由なく不機嫌になる、キーキー声を出す、噛みつくなど)
- 夜尿症(おねしょ)
2. 消化器・呼吸器系の不調
血流を促進し、内臓の働きを活発にすることで、子どものデリケートな胃腸や呼吸器を健やかに保ちます。
- 便秘、下痢
- 風邪(ひきやすい、長引く)
- 中耳炎のケア
3. アレルギー症状の緩和
免疫機能に関わる自律神経のバランスを整えることで、アレルギー体質の改善をサポートします。
- 喘息(ぜんそく)
- 花粉症
お薬に頼らない、副作用のない安心感
小児鍼の最大のメリットの一つは、西洋医学の治療薬とは異なり、副作用が一切ない点にあります。
まだ身体の機能が未発達で、できるだけお薬に頼りたくない乳幼児期のお子様であっても、安心して受けていただくことができます。ツボの周りを優しく刺激するだけで、お子様が本来持っている自然治癒力を自然な形で引き出すことが可能です。
お子様の「健やかな成長」と「リラックス」のために
子どもの健やかな成長には、心身がリラックスしている時間が欠かせません。
「夜泣きが続いてご家族の寝不足が続いている」「病院に行くほどではないけれど、体調を崩しやすい」といった日々の小さなお悩みにこそ、身体に優しい「小児鍼」がお役に立てるかもしれません。
